外付けHDD(ハードディスク)は衝撃や振動に対して非常に繊細です。衝撃や振動によって、内部の精密機械が損傷し、データが失われたり、読み書きできなくなる可能性があり、ある日突然「認識しない」「読み込まない」「アクセスできない」などのトラブルが起こることは決して珍しくありません。
この記事では、外付けHDDが認識しない原因や、症状に合わせた対処方法を解説します。
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目次
外付けHDDをPCが認識しない原因と主な症状
パソコンが外付けHDDを認識しない原因は大別すると次の通りです。パソコンや周辺機器が問題であったり、外付けHDDが問題の場合もあり、それぞれ詳しくご紹介します。
- パソコン側の問題
- 電源やケーブルの接続不良
- 外付けHDDの論理障害
- 外付けHDDの物理障害
HDDの復旧方法に関しては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
![故障したHDDからデータを取り出したい?対処方法を専門業者が徹底解説](https://www.ino-inc.com/data_check/wp-content/uploads/2022/07/pc_hdd-320x180.jpeg)
①パソコン側の問題
USBケーブルやACアダプタ、外付けHDD本体に問題がなくても、接続しているパソコン側に原因があるかもしれません。別のパソコンで外付けHDDを試してみて、認識される場合は、元のパソコンに問題があると考えられます。
②電源やケーブルの接続不良
外付けHDDが認識しない原因として、電力不足や接触不良が考えられます。
たとえば消費電力が高い外付けHDDの場合、性能の低いUSBケーブル、USBハブを使うと電力不足になることがあります。予備のケーブルがある場合は交換してみてください。
また、正しいUSBケーブルを使用しても外付けHDDがパソコンに認識されない場合、接続部にホコリが溜まっているか、そもそも接続が不十分な可能性があります。
ケーブルに異常がないものの、モーターも回らない場合、自力での復旧は不可能である可能性が高いです。このような場合、専門のデータ復旧業者に依頼する必要があります。技術力の高い業者であれば、動かないHDDからでもデータを取り出せる可能性があります。
③外付けHDDの論理障害
![論理障害](https://www.ino-inc.com/data_check/sh/images/res_03/ron.webp)
論理障害とは、外付けHDD本体は問題なく認識されるものの、保存データに不具合が生じる状態です。
具体的には、以下のような症状が発生します。
- データが消えてしまった
- ファイルが開けない
- 文字化けしている
- フォーマット(初期化)を要求される
- ファイルやフォルダが見えなくなったり、アクセスできなくなる
- パソコン上で外付けHDDを認識しない、アイコンが出ない
- HDDがエクスプローラー上に表示されない
- ランプは光るものの、色が暗くなり、認識しない
主な原因としては、以下のものが考えられます。
- 誤操作によるデータ削除: ファイルの誤削除やゴミ箱からの削除など
- ファイルシステムの破損: 読み書き中の強制終了、停電、ウイルス感染など
- 磁気ヘッドが破損:落下衝撃・水没・経年劣化など
軽度な論理障害の場合、スタートアップ修復でこの問題は解決可能です。
しかし、「データを削除した」「エラーメッセージに従ってフォーマットした」「物理障害が疑われる」といった場合、Windowsの標準的な修復ツールでは対応できないことがありますので注意しておきましょう。
④外付けHDDの物理障害
![物理障害](https://www.ino-inc.com/data_check/sh/images/res_03/butsu.webp)
物理障害とは、HDD内部の部品が損傷し、正常に動作しなくなる状態を指します。
主な原因は以下の3つです。
- 落下や衝撃: HDDを落としたり、強い衝撃を与えたりすると、プラッターやヘッドなどの部品が損傷する可能性があります。
- 水濡れ: HDDが水に濡れると、内部の電子部品が腐食し、故障する可能性があります。
- 経年劣化: HDDは消耗品であり、長時間の使用によって部品が摩耗し、劣化します。
物理障害が発生すると、以下のような症状が現れます。
- 異音: HDDからカチカチ、ゴロゴロなどの異音が聞こえる
- 焦げ臭い: HDDから焦げ臭いにおいがする
- CRCエラー: データを読み書きする際にCRCエラーが発生する
- フォーマット要求: HDDをパソコンに接続すると、フォーマットを要求される
- 認識されない: BIOSやOSでHDDが認識されない
- データが消失・破損する: 保存していたデータが消失したり、破損したりする
- 動作が不安定になる: パソコンがフリーズしたり、ブルースクリーンになったりする
物理障害が発生したHDDを自力で分解・修復しようとすると、さらなるデータ損失を招く可能性があり、少しのチリやホコリでも重度の障害を引き起こすことがあります。
上記の症状が発生した場合は、速やかに電源を落として、豊富な経験と実績を持つデータ復旧の専門業者に相談することを強くおすすめします。
データ復旧の鍵を握る「初期診断」とは
![](http://www.ino-inc.com/data_check/wp-content/uploads/2024/01/P2A7097_加工.jpg)
データ復旧は手術と同様、何度もできるものではありません。最初の対応が復旧率を握ります。このとき「初期診断」が重要です。
初期診断は、障害の原因や種別を特定し、適切な復旧方法を選ぶ工程ですが、豊富な経験と高い復旧率を持つ業者は、初期診断の精度が高く、適切な復旧作業を行うことが出来ます。
当社では、経験豊富な技術者が機器を開けずに「初期診断」を行い、内部の部品にダメージを与えることなく問題を見つけます。データ障害のパターン15,000種類以上もありますが、41万件以上の相談経験(算出期間:2011年1月1日~)を持つ当社は、それぞれの障害原因をデータベースから即座に情報を引き出し、原因を正確に特定できる体制を整えています。
機器別エンジニアによる、無料の初期診断も行っていますので、お気軽にご相談ください。365日24時間体制で電話受付を行っており、今後の対応方法を無料でご案内いたします。
![相談問合せ](https://www.ino-inc.com/data_check/wp-content/uploads/2022/07/contact.jpg)
最短5分で無料診断!41万件超の相談実績をもとに専門家が対応します。
外付けHDDを認識しない時に注意すること
外付けHDDを認識しない場合の注意点です。この注意点を把握しないで操作し続ければ最悪の場合、復旧不可能な状態まで陥ることもあります。
PCを強制終了しない
![強制終了NG](https://www.ino-inc.com/technology/images/hdd_crash/nng03.jpg)
外付けHDDを認識しないときに、PCを強制終了させるのは控えましょう。外付けHDDは常にデータの読み書きを行っています。データを更新するためには複数のデータ情報を更新しなければなりませんが、その更新が上手く行えない状態で強制的に終了してしまうとデータ消失につながります。過度な強制終了はデータを失う危険性が高いため、控えましょう。
通電し続けない
![hddを認識しないトラブルとは](https://www.ino-inc.com/technology/images/hdd_crash/nng01.jpg)
外付けHDDを認識しない際は、以下の点に気をつけましょう。
- 外付けHDDの電源をOFFにする(ONにしない)
- 外付けHDDを通電させない
外付けHDDは電源を入れると物理的な部品が駆動し、機器に一番大きな負荷がかかるため、何度も再起動を行うと故障をより大きくする確率が上がってしまいます。焦って再起動や抜き差しを試してしまうと、復旧できたはずのデータさえも復旧できなくなってしまう可能性も高いです。
データ復元ソフトの使用は控える
![復元ソフト](https://www.ino-inc.com/technology/images/hdd_crash/hukugen_Sohuto.jpg)
データ復元ソフトで対処できるのは、軽度の論理障害のみです。
しかし、物理障害でも「フリーズ」「フォーマット要求」など、論理障害と同じような症状が出ることがあり、見分けがつかないことが多くあります。障害を正確に判断できない状態で、安易にデータ復元ソフトを使用してしまうと、外付けHDDに物理的な負荷がかかり、状態を悪化させてしまう恐れがありますので、データを安全に取り出すためには、データ復元ソフトの使用は避けるのが賢明といえるでしょう。
フォーマットしない
![「フォーマットする必要があります。」](https://www.ino-inc.com/data_check/sh/images/res_07/need-to-format-disk.png)
外付けHDDが認識しない場合、PCに接続してみると「フォーマットしますか?」といったエラー画面が表示されることがあります。フォーマットとは、ファイルシステム(データを構築する仕組み)が読み込めなくなった際に、ファイルシステムを整理し直して、データの管理ができるようにするための操作です。
指示通りにフォーマットを実行してしまうと、外付けHDD自体のシステムエラー(論理障害)は解消することもありますが、それと引き換えに外付けHDD内の保存データにアクセスできなくなります。大切なデータが保存されている場合は、安易にフォーマットを試さないようにしましょう。
万が一フォーマットした場合でも、まだデータは残っているため、そのままの状態でデジタルデータリカバリーまで、ご相談ください。症状によっては熟練のエンジニアによって、最短1日でデータを復旧することも可能です。
フォーマットしたデータの復元方法 |「フォーマットする必要があります」とは?
外付けHDDが認識されない場合、慌てずに以下の3つのステップで原因を特定し、解決しましょう。
ドライブが急に消えて認識しなくなった場合、パーティションに問題があるかもしれません。このときに有効なものがTestDiskです。
TestDiskは、無料で使用できるオープンソースのデータ復旧ソフトです。誤って削除してしまったパーティションや破損したパーティションを復元することができます。
TestDiskでHDDのパーティションを復元する方法は次の通りです。
- https://sourceforge.net/projects/testdisk/files/latest/download から、TestDiskをダウンロードします。
- ダウンロードしたファイルを解凍し、OSに合った実行ファイルを起動します。
- 起動画面で、矢印キーを使用して、復元したいHDDを選択します。
- Enterキーを押すと、次画面が表示されます。
- 「Analyze」を選択します。
- 分析が完了すると、パーティション構造が表示されます。
- 矢印キーを使用して、復元したいパーティションを選択します。
- 「P」キーを押すと、選択したパーティションが「Active」に変更されます。
- 「Quick Search」を選択します。
- クイック検索が完了すると、失われたファイルやフォルダが表示されます。
- 復元したいファイルやフォルダを選択します。
- 「C」キーを押すと、選択したファイルやフォルダが現在のフォルダにコピーされます。
⑥CHKDSKコマンドで修復する
Windowsには、HDDのシステムに破損がないかをチェックし、自動で修復を試みるコマンドが搭載されています。
そのうちの1つが「チェックディスク(chkdsk)」で、実行方法は次のとおりです。
- Win+Rキーを同時に押しファイル名を指定して実行のウィンドウを開きます。
- cmdと入力しコマンドプロンプトを起動します。
- 「chkdsk d/f」と入力し、Enterで実行します。
ただし、いつまでもコマンド修復が終わらない場合、「不良セクタと呼ばれるHDD上のエラー領域が増えている」など、より重度の障害が起きている可能性があります。
このような場合、個人での操作は控えましょう。状態が悪化する恐れがあります。もしデータが必要なときは、データ復旧の専門の業者に対応を依頼することをおすすめします。
チェックディスク(chkdsk)が終わらない|原因と対処法を解説
⑦レジストリ(Windowsの設定)を復元する
レジストリは、Windowsの設定情報が保存されているデータベースです。レジストリが破損すると、HDDを含む各種デバイスが認識されないなどの問題が発生することがあります。認識されないHDDがレジストリの破損によって認識されない場合、レジストリの復元によって修復できる可能性があります。
レジストリの破損は、「エラーチェック」「システムの復元」などで解消できるので、一度試してみましょう。
ただし、「システム復元」で問題が解決しない場合、より深刻な障害が外付けHDDに起きている恐れがあります。障害を悪化させないためにも、操作をせず電源を切り、専門家まで相談することをおすすめします。
- まず検索ボックスに「復元ポイント」と打ち込みます。
- 表示されたプロパティから「システムの保護」→「システムの復元」→「次へ」と進みます。
- 復元ポイントを一覧から選択後、「次へ」→「完了」に進みましょう。
![システムの復元](https://www.ino-inc.com/data_check/pc/images/res_33/img4.png)
上記の方法で修復を試してもHDDが認識されない場合は、物理的な故障の可能性があります。この場合は、データ復旧業者に依頼してデータの復旧を検討する必要があります。
データ復旧業者は、専門の知識と設備を使って、物理的に故障したHDDからでもデータを復旧できる可能性があります。ただし、データ復旧は成功を保証するものではなく、費用も高額になる場合があります。