突然、Windows XPが立ち上がらず、「Operating System Not Found」や「無効なパーティションテーブル」といったエラーメッセージが表示され、困惑した経験はありませんか？
このようなトラブルの背後には、システムの起動に欠かせないMBR（マスターブートレコード）の破損が潜んでいることがあります。
本記事では、MBR破損によりWindows XPが起動しない場合の修復方法を解説します。作業にはWindows XPのインストールCDが必要なため、事前の準備が欠かせません。誤った操作は状況を悪化させる恐れがあるため、正しい手順を確認し、慎重に対応することが重要です。
目次
MBR修復が必要になる主な原因
MBR（マスターブートレコード）の破損は、Windows XPが起動しない原因としてよく見られる障害のひとつです。以下に、MBR修復が必要になる代表的なシチュエーションを紹介します。
Windowsが起動しない
パソコンの電源を入れても、真っ黒な画面に「Operating System Not Found」や「Invalid partition table」などのメッセージが表示され、Windows XPが全く起動しないことがあります。
このような現象は、HDD内の最初に読み込まれる領域「MBR（マスターブートレコード）」が破損している場合に起こる典型的な症状です。MBRはOSの起動を司る重要な構成要素で、ここが正常に機能しないと、パソコンはどのOSを起動すべきか判断できず、システムが止まってしまいます。
起動ファイルやブートセクターの破損
MBRが無事でも、「NTLDR」や「BOOT.INI」「NTDETECT.COM」といったWindows XPの起動に必要なファイルが破損・欠損していると、OSは正常に起動しません。
例えば、「NTLDR is missing」や「BOOT.INIが見つかりません」というエラーが表示される場合、それらのファイルの損傷や、ブートセクターと呼ばれる領域の破損が原因と考えられます。MBR修復に加え、これら起動ファイルの再配置や修復も必要になるケースです。
ウイルスやマルウェアの影響
一部のウイルスやマルウェアは、MBR領域を書き換え、パソコンの起動を妨害する機能を持っています。特に「ブートキット」と呼ばれるタイプのマルウェアは、起動処理を乗っ取ることでユーザーの操作を制限し、データを暗号化・破壊する恐れもあります。
こうした感染が原因の場合、MBRの修復だけでは不十分で、感染したマルウェアの駆除を同時に行わなければ再発するリスクも高くなります。
停電や強制終了による破損
作業中に突然の停電が発生したり、PCの電源を強制的に落としたりすることで、MBRに記録中のデータが破損することがあります。
特に、HDDの読み書き中に電源が遮断されると、MBRを含むディスクの重要領域が書き換え途中で中断され、構造が壊れることがあります。このような「不完全な書き込み」は、再起動時にシステムエラーや起動不能を引き起こします。
ディスクエラーやハードウェア障害
HDDそのものに物理的な障害がある場合、MBR（マスターブートレコード）も含めた全データ領域が読み取れなくなることがあります。主な原因としては、次のようなものが挙げられます。
- ディスクの経年劣化
- セクタ不良（不良クラスタ）
- 読み取りヘッドの損傷
このような物理障害は、ソフトウェアでの修復が難しいことが多く、自力で対応しようとすると状態を悪化させてしまうリスクがあります。MBRの修復では問題が改善されず、専門的な設備と技術を持つデータ復旧業者に相談することが求められます。
物理障害が疑われる段階で、以下のような行動は避けるべきです。
- 無理に電源を入れる
- 市販のソフトウェアを試す
こうした対応は、かえってデータを消失させる原因になりかねません。だからこそ、早期に専門業者による正確な診断を受けることが、データ保護の第一歩になります。
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Windows XPが起動しないときのMBR修復手順
Windows XPでは「回復コンソール」という機能を使って、MBRを直接修復することが可能です。MBRの破損が原因で起動できないケースであれば、この方法で復旧できる可能性があります。
インストールCDから回復コンソールを起動する
まずは、回復コンソールを使ってMBR修復にアクセスします。
- Windows XPのインストールCDをパソコンに挿入します。
- BIOSでCD/DVDドライブを起動優先に設定し、パソコンを再起動します。
- 「Press any key to boot from CD…」と表示されたら、任意のキーを押します。
- セットアップ画面が表示されたら、「R」キーを押して回復コンソールに入ります。
対象のWindowsにログインする
MBRを修復するには、該当するWindows環境にログインする必要があります。
- 表示されたWindowsのインストール番号（通常は「1」）を入力し、Enterを押します。
- 続けて、管理者のパスワードを入力してログインします。
- プロンプト画面が表示されたら、次の修復手順に進みます。
fixmbrコマンドを実行する
MBRの再構築は、fixmbrコマンドで実施します。
- コマンドプロンプトに「
fixmbr」と入力し、Enterを押します。 - 「新しいMBRを書き込みますか？」と確認されたら「Y」を押して実行を承認します。
- 書き込み処理が完了するまで待機します。
修復完了後に再起動する
MBRの書き換えが終了したら、PCを再起動して起動確認を行います。
- 「
exit」と入力し、Enterキーを押して回復コンソールを終了します。 - PCが自動的に再起動されます。
- インストールCDを取り出し、正常にWindowsが起動するか確認します。
fixmbrコマンドはMBRの再構築には有効ですが、パーティション情報やファイルシステムに問題がある場合は対応できません。以下のような症状が見られる場合は、さらなる対策が必要です。
- パーティションが認識されない
- 再起動後も「OSが見つかりません」などのエラーが続く
- ハードディスクから異音がする
こうした状況では、TestDiskなどの復旧ツールを使う方法もありますが、操作を誤ると重要なデータが完全に失われる危険があります。
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電話番号：0800-333-6302
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この記事を書いた人
デジタルデータリカバリー データ復旧エンジニア
累計相談件数46万件以上のデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」において20年以上データ復旧を行う専門チーム。
HDD、SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、スマートフォンなど、あらゆる機器からデータを取り出す国内トップクラスのエンジニアが在籍。その技術力は各方面で高く評価されており、在京キー局による取材実績も多数。2021年に東京都から復旧技術に関する経営革新優秀賞を受賞。
