Windows 11の起動時に「自動修復でPCを修復できませんでした」と表示され、何度再起動しても同じ画面が繰り返される――。これは、いわゆる「自動修復ループ」と呼ばれる現象で、多くのユーザーが直面する深刻な起動トラブルです。
この症状が発生する原因は多岐にわたり、対処法を誤ると、さらに状態を悪化させてしまう可能性もあります。
この記事では、自動修復ループの代表的な原因と、それに対する具体的な解決策を丁寧に解説します。
目次
自動修復ループが発生する原因
Windowsが自動修復に入るのは、「通常の起動プロセスに異常がある」と判断されたときです。主な原因は以下のとおりです。
システムファイルの破損
Windowsの起動に必要なファイルが破損していると、自動修復が繰り返されることがあります。停電や強制終了、誤ったアップデート操作などが主な原因です。
ドライバーの不具合
グラフィックボードなどのハードウェアドライバーに不具合があると、OSが正常に初期化できず、自動修復をループします。特にWindows Update後に発生することがあります。
ウイルスやマルウェア感染
悪意あるソフトウェアによってシステムファイルが書き換えられている場合、通常の起動ができず、修復不能な状態となることがあります。
ハードウェアの不具合(RAM・SSDなど)
自動修復で復旧できない場合の対処法
ここからは、各原因に対応した具体的な対処法を、順番にご紹介します。
セーフモードで起動する
Windowsの最小構成で起動し、ドライバーやアプリケーションの影響を取り除いて原因を特定します。
- PCを起動し、電源が入ってすぐにF8またはShift + F8を連打
- 「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「スタートアップ設定」→「再起動」を選択
- 再起動後、F4を押して「セーフモード」で起動
システムの復元を実行する
正常に動作していた過去の状態にシステムを戻すことで、問題を回避できる場合があります。
- 「詳細オプション」→「システムの復元」を選択
- 表示された復元ポイントから正常だった日付を選択
- 画面の指示に従って復元を実行
BCD(ブート構成データ)の再構築
ブート情報が破損している場合は、BCDの再構築が有効です。
- 「コマンドプロンプト(管理者)」を開く
bcdedit /export C:\bcdbackup(バックアップ作成)bootrec /rebuildbcdを実行
DISMとSFCを使ってシステム修復
破損したシステムファイルをオンラインで修復する方法です。
- コマンドプロンプトを管理者権限で起動
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealthを実行sfc /scannowを実行
ハードウェアのチェックを行う
RAMやSSDの不具合は、物理的な修理や交換が必要です。
- RAMを取り外して、1枚ずつテスト起動
- 別のメモリスロットで再起動を試す
- SSDメーカー提供の診断ツールを使用してエラーチェック
Windowsを再インストールする
他の方法で回復できない場合は、クリーンインストールが必要になります。重要データがある場合は、HDDを取り出し、別のPCに接続してバックアップを試みてください。
- 別のPCでWindowsインストール用USBを作成
- 対象PCに接続し、BIOSでUSB起動
- 画面の案内に従ってクリーンインストールを実行
自動修復ループは、軽度のエラーから深刻なシステム障害までさまざまな原因で発生します。自己判断での対応を続けてしまうと、データ損失のリスクも高まります。
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この記事を書いた人

デジタルデータリカバリー データ復旧エンジニア
累計相談件数46万件以上のデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」において20年以上データ復旧を行う専門チーム。
HDD、SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、スマートフォンなど、あらゆる機器からデータを取り出す国内トップクラスのエンジニアが在籍。その技術力は各方面で高く評価されており、在京キー局による取材実績も多数。2021年に東京都から復旧技術に関する経営革新優秀賞を受賞。



































