外付けHDDやUSBメモリを開こうとしたとき、以下のようなエラーが表示されてアクセスできなくなることがあります。
- 「CRCエラー」と表示されてコピーが途中で止まる
- 「データ エラー(巡回冗長検査)」と表示されてファイルが開けない
- ZIPファイルの解凍中に「エラー 23」などが出て止まる
こうした症状が現れた場合、多くは「データの読み取りに異常が発生している」状態です。単なる接続不良のこともありますが、内部の劣化や物理的な故障が進行しているサインである可能性もあります。
本記事では「CRCエラー」が表示されるタイミング、発生原因の切り分け方、Windowsで試せる安全な対処法を、データ保全を最優先にした順番で詳しく解説しています。
もし、エラーが出たドライブに重要なファイルが含まれている場合は、ご自身での作業を控え、安全性の高い初期診断から始めることを強くおすすめします。私たちは、24時間365日対応で、状況確認とお見積りを無料で承っております。
目次
CRCエラーの原因
CRCエラーは「データを読んだ結果、検証に失敗した」状態を示します。原因は大きく分けると「接続などの“外側の問題”」と「ディスクやファイル自体の“破損・劣化”」です。ここで原因の方向性をつかめると、無駄な操作を減らし、状況悪化を避けやすくなります。
接続不良(ケーブル・端子・電力不足)
外付けHDD/SSDやUSBメモリで最初に疑うべき原因です。
端子が奥まで刺さっていない、USBポートが不安定、ケーブル内部が断線している、USBハブ経由で電力が足りない、といった状態でもCRCエラーが出ることがあります。
厄介なのは、接続の問題なのに「データが壊れている」ように見える点です。実際は通信が不安定なだけなのに、修復スキャンを長時間回してしまい、結果としてディスクへ負荷をかけて症状が悪化するケースがあります。
論理障害(ファイルシステム破損・不正な取り外し)
機器は動いているのに、内部の管理情報(ファイルシステム)が壊れていて、正しく読み取れない状態です。安全な取り外しをせずに抜いた、書き込み中に電源が落ちた、強制終了が重なった、ウイルスやドライバ不具合があった、といった場面で起こりやすいです。
論理障害は、状況によってはWindowsのエラーチェックや修復で改善することもありますが、修復は内部構造を書き換えるため、重要データがある場合は実行順序を誤ると復旧が難しくなることがあります。
ファイル単体の破損(納品データ・ダウンロード失敗・ZIPの破損)
ストレージが正常でも、受け取ったファイル自体が壊れていると、CRCエラーが出ます。特にZIPなどの圧縮ファイルは、転送途中の欠損や同期中断で壊れやすく、解凍時に「CRCエラー」と表示されることがあります。
この場合、ディスク修復よりも「正しいファイルを再入手する」ほうが早く安全なので、データの送信側と受信側のどちらで欠損したかを切り分けるのがポイントになります。
OS・ドライバ・コントローラ起因(Windows側の不具合)
Windowsの更新、USBコントローラやストレージドライバの不具合、チップセット周りの相性などで、読み取りが不安定になり、CRCエラーのような形で表面化することがあります。
同じUSBメモリを別PCでは読める、複数の外付け機器で似た症状が出る、といった場合は、ドライブ側だけでなくPC側の要因も疑います。
物理障害(衝撃・熱・部品故障)
HDDならヘッドやプラッタ、SSDやUSBならフラッシュメモリやコントローラなど、部品の故障が原因でCRCエラーが出ることがあります。衝撃や落下、熱、経年劣化が引き金になります。
特に注意したい兆候は、異音(カチカチ、回転が不安定)、認識したり消えたりする、以前より発熱が強い、フリーズが増えた、といった症状です。
こうした状態で操作を続けると、PCが起動不能になったり、必要なデータに二度とアクセスできなくなる可能性があります。
不良セクター・劣化(HDD/SSD/USBで起きる読み取り不能)
HDDが劣化して読めなくなると、ファイルの読み取り時にエラーが出ます。
SSDやUSBメモリでも、フラッシュメモリの摩耗やコントローラの管理不良により、特定領域の読み取りが不安定になることがあります。
初期は「特定ファイルだけコピーできない」「コピー速度が極端に遅い」などで気づきますが、読み取りの試行回数が増えるほど、読めない範囲が広がることがあります。
仕事のデータや写真などが入っている場合は、無理に全コピーや全修復を狙わず、読めるものから優先退避する考え方が重要ですが、CRCエラーは原因が多岐にわたり、自己判断の修復で状態が悪化すると、必要なデータにアクセスできなくなる恐れがあります。
特に重要データや期限が迫る場合は、早急な専門診断が重要です。
当社では、相談から初期診断まで24時間365日無料でご案内しています。大切なデータが気になる場合は、自己判断での作業を続ける前に、まずはご相談ください。
【要注意】自力対応が招くデータ損失のリスク
CRCエラーが発生すると、自力で何とかしようと対応される方が多いかもしれません。
しかし、無理に再起動や初期化を行ってしまうと、保存されているデータにアクセスできなくなる恐れがあります。必要なデータが残っている場合は、誤った操作で状態を悪化させてしまう前に、専門業者へ相談することが大切です。
専門業者であれば、正確な診断に基づいて状況に合った方法で復旧を進めるため、データ消失のリスクを最小限に抑えることができます。中でもデジタルデータリカバリーは、以下の理由から多くの方に選ばれています。
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大切なデータを守るには、まずは自力対応よりも専門的な判断が欠かせません。操作を誤る前に、まずは当社にご相談ください。
CRCエラー時の対処法
CRCエラーで大切なのは、修復を急ぐより「これ以上悪化させない」ことです。特に外付けHDD/SSDやUSBメモリは、通電や読み取り回数が増えるほど、読める範囲が減っていくことがあります。
以下は、Windows 11/10を前提に「安全性が高いものから」順に並べた対処法です。途中で異音、切断の繰り返し、極端な遅さなどが出る場合は、手順を止めて相談に切り替える判断も含めて進めてください。
①最初に行う安全な初動
最初の数分の動き方で、復旧のしやすさが変わることがあります。ここでは、データを守るための初動を、無駄な操作を増やさない形で整理します。
重要データの有無と優先順位を決める手順
CRCエラー対応は「直す」より「守る」が先です。まず、失って困るデータがあるかを整理し、やるべき操作の上限を決めます。
- 今まさに必要なデータを、具体的に書き出します(例:納品フォルダ、会計データ、写真フォルダなど)。
- データが「期限がある」「二度と入手できない」「バックアップがない」のどれに当てはまるか確認します。
- 当てはまる場合は、修復よりも「退避できるものを先に救う」「危険な操作は避ける」を基本方針にします。
- 一方で、データが不要なドライブなら、後半のフォーマット手順を含めて早めに復旧より復旧後の運用へ切り替えます。
通電・操作を最小限にする手順
CRCエラーが出ている状態で読み取りを繰り返すと、ドライブに負荷がかかり、読める範囲が減っていくことがあります。まずは不要なアクセスを止めます。
- コピーや解凍、ファイルのプレビューなど、アクセスが発生している操作があれば一度止めます。
- エクスプローラーが固まっている場合は、無理に連打せず、数分待って反応するか確認します。
- 外付けドライブの場合は、可能ならタスクトレイの「ハードウェアを安全に取り外してメディアを取り出す」から安全に取り外します。
- 安全な取り外しができない、または認識が不安定な場合は、PCをシャットダウンしてからケーブルを抜き、再接続は後述の切り分け手順に沿って行います。
エラー内容を記録する手順(スクリーンショット・メモ)
エラーメッセージは、原因切り分けや相談時の判断材料になります。状況を正確に残すことで、無駄な操作を減らせます。
- 表示されている文言を、できるだけそのままメモします(例:「データ エラー(巡回冗長検査)」など)。
- Windowsのスクリーンショット機能(
Win+Shift+S)で画面を保存します。 - どのドライブで起きたか(例:Dドライブ、Eドライブ)、どの操作中か(コピー中、解凍中、開こうとした等)を記録します。
- 外付けなら機器名、型番、容量、接続方式(USB-A/USB-C、ハブ経由など)も書き残します。
接続を1回だけ見直す手順(抜き差しの連発を避ける)
接続の見直しは効果が高い一方、抜き差しの連発は接触摩耗や不安定化につながりやすいです。切り分けのために「1回ずつ、手順通り」に行います。
- 外付け機器は、可能なら安全な取り外しを行ってからケーブルを抜きます。
- 端子の汚れ、曲がり、緩みがないか目視で確認し、埃があれば軽く除去します(無理にこすらない)。
- 次の接続は「条件を1つだけ変える」形で行います(例:ポートだけ変える、ケーブルだけ変える)。
- 接続後に認識が安定するか、CRCエラーが再現するかを確認し、結果をメモしてから次の切り分けへ進みます。
CRCエラーは、接続不良のような軽い原因から、HDD・SSD・USBの劣化や物理障害まで幅広く発生します。大切なデータがある場合ほど、闇雲な修復よりも「状態を悪化させない判断」が重要です。
異音がする、認識が不安定、コピーが極端に遅い、フォーマットを求められるが中身が必要――このような状況では、無理な操作を続けず、専門家による初期診断で原因を切り分けることが安全です。
②接続トラブルを切り分ける(外付けHDD/SSD/USB)
外付け機器のCRCエラーは、接続・電力・相性が原因のことがあります。ここでは、データへの負荷を増やしにくい順に、接続周りを切り分けます。
USBハブを外して直挿しする
USBハブ経由は電力不足や通信品質の低下が起きやすく、CRCエラーの原因になります。まずはPC本体へ直挿しして切り分けます。
- USBハブや延長ケーブルを使っている場合は外し、PC本体のUSBポートへ直接接続します。
- 可能なら、デスクトップPCは背面ポートも試します(前面より安定することがあります)。
- 接続後、ドライブが安定して表示されるか、ファイルを開かずにまず認識状態だけ確認します。
- 直挿しで改善する場合は、ハブ側の電力や接触が原因だった可能性が高いので、以後は直挿し運用に切り替えます。
別ポート・別ケーブルで切り分ける
ケーブルは見た目が無事でも内部断線していることがあります。ポートも接触不良や相性で不安定になります。安全性が高い切り分けとして有効です。
- 現在の接続条件(ポート位置、ケーブル種類、ハブ有無)をメモします。
- まずは「ポートだけ」を変えます。改善しなければ元に戻し、次に「ケーブルだけ」を変えます。
- USB-C機器は、充電用ケーブルではなくデータ転送対応ケーブルかを確認します。
- 改善があった組み合わせが見つかったら、その条件で重要データの退避を優先し、修復操作は後回しにします。
外付けHDDの給電を安定させる
ポータブルHDDやバスパワーの機器は、電力不足で一時的に読み取りが失敗し、CRCエラーとして出ることがあります。給電環境を整えることで改善する場合があります。
- ノートPCの場合はACアダプタを接続し、バッテリー駆動を避けます。
- 外付けHDDがACアダプタ式なら、純正アダプタを使い、電源タップの接触も確認します。
- USB機器を複数接続している場合は一度外し、対象ドライブだけ接続して試します。
- 給電を整えて認識が安定したら、必要データのコピーを優先して進めます。
別PCで認識するか確認する手順
同じ機器が別PCで正常に読めるなら、ドライブ故障ではなくPC側(ドライバ、USBコントローラ、OS)に原因がある可能性が高まります。
- 別PCを用意します(可能ならWindows、できればUSBポートが複数あるPC)。
- 対象ドライブを直挿しし、認識が安定するかだけを最初に確認します。
- 別PCで読める場合は、そのPCで重要データを退避し、元のPC側の修復(ドライバ、OS修復)を検討します。
- 別PCでも同じ症状なら、ドライブ側の劣化や障害の可能性が高くなるため、次の「状態確認」へ進みます。
③ドライブの状態を確認する(ディスク管理・S.M.A.R.T.)
CRCエラーが続く場合、ドライブが「安定しているか」「劣化の兆候があるか」を確認します。状態によって、chkdskなどの修復をやるべきか、退避や相談を優先すべきかが変わります。
ディスクの管理で認識状態を確認する
Windowsがドライブをどう認識しているかを確認します。誤って初期化や新規ボリューム作成を選ばないように、見るポイントを押さえて進めます。
Win+Rを押し、diskmgmt.mscと入力して「ディスクの管理」を開きます。- 対象ディスクが表示されているか、容量が極端におかしくないかを確認します。
- ボリューム状態に「正常」「RAW」などの表示がないか確認し、スクリーンショットを保存します。
- 「初期化しますか」「フォーマットしますか」と出ても、中身が必要なら実行せず、次の退避や相談判断へ進みます。
S.M.A.R.T.を「CrystalDiskInfo」で簡易チェックする
S.M.A.R.T.は、HDDやSSDなどのドライブ内部に備わった自己診断機能です。ドライブの健康状態や異常兆候を数値として確認できるため、障害の初期発見に役立ちます。ただし、外付けケースの仕様によっては情報を取得できない場合もあります。表示できる場合は、故障の判断材料として活用できます。
- HDDやSSDの健康状態などを監視できるソフト「CrystalDiskInfo」(クリスタルディスクインフォ)を起動します。
- 画面上部のリストから、調べたいドライブ(外付けHDDやSSDなど)を選択します。
- 画面左上に表示される「健康状態」を確認します(例:正常/注意/異常)。
その下のS.M.A.R.T.項目から、特にC5(代替処理保留中のセクタ数)、C6(回復不可能セクタ数)、05(代替処理済のセクタ数)の値を確認します。黄色や赤色の表示、または数値が増加している場合は注意が必要です。 - 温度が極端に高い、またはS.M.A.R.T.情報自体が表示されない場合(取得不可)も、内部に異常がある可能性があります。
- 「注意」または「異常」と表示された場合、あるいは情報が取得できない状態で異音・切断・読み込み遅延がある場合は、修復スキャンよりもデータの退避・専門業者への相談を優先します。
メーカー診断ツールで確認する
メーカー提供の診断は、状態の目安を短時間で把握できることがあります。ただし、長時間テストは負荷になるため、重要データがある場合は実行前に判断が必要です。
- 対象ドライブのメーカーと型番を確認します(外付けなら本体ラベル、内蔵ならデバイスマネージャーなど)。
- メーカーが提供する診断ツールを用意し、まずは短時間で終わる「クイックテスト」から実行します。
- テスト中にフリーズ、切断、異音などが出たら中止し、以後の操作は控えます。
- 結果が「注意」「異常」相当なら、修復を狙うより、読めるうちの退避と専門相談を優先します。
イベントビューアーでディスク関連エラーを確認する
Windowsが内部で記録しているディスクやファイルシステムのエラー履歴を見ると、論理障害寄りか、ハードウェア寄りかの判断に役立つことがあります。
Win+Rを押し、eventvwr.mscと入力してイベントビューアーを開きます。- 「Windows ログ」→「システム」を開きます。
- 右側の「現在のログをフィルター」を使い、ソースを「Disk」「Ntfs」「StorPort」などで絞り込みます。
- 該当するエラーが連続している場合は、スクリーンショットや日時のメモを残し、次の判断(退避・修復・相談)に活用します。
④Windowsのエラーチェックとchkdskを使う
論理障害が疑われ、ドライブが安定して認識される場合は、Windows標準の修復で改善することがあります。ただし、修復は内部情報を書き換えるため、重要データがある場合は「先に退避」を優先し、実行可否を慎重に判断してください。
エクスプローラーのエラーチェックを実行する手順
GUIで実行できる標準修復です。軽いファイルシステム不整合であれば改善することがありますが、途中で異常に遅い、切断する場合は中止を検討します。
- エクスプローラーで「PC」を開き、対象ドライブを右クリックして「プロパティ」を開きます。
- 「ツール」タブを選び、「エラー チェック」→「チェック」を押します。
- 画面の指示に従い、必要なら修復を実行します。完了まで触らずに待ちます。
- 完了後、まずは重要データが開けるか確認し、読めるものから退避します。
chkdsk /f を実行する手順
chkdskはファイルシステムの不整合を修正します。状況によりファイル情報が書き換わるため、重要データがある場合は先に退避を検討してください。
- スタートメニューで「cmd」を検索し、「コマンドプロンプト」を管理者として実行します。
- 対象ドライブ文字を確認し、
chkdsk X: /fを入力して実行します(X:は対象ドライブに置き換えます)。 - システムドライブの場合、再起動時に実行するか聞かれたら、必要に応じて
Yで予約し再起動します。 - 完了後、CRCエラーが再現するか確認し、改善があれば速やかにバックアップを作成します。
chkdsk /r を実行すべきか判断する手順
/rは不良セクター検査を含み、時間と読み取り負荷が大きくなります。弱っているドライブに対して実行すると、読み取り不能範囲が広がることがあります。
- 異音、切断の繰り返し、極端な遅さがある場合は
/rを避け、退避または相談を優先します。 - S.M.A.R.T.や診断で「注意」「異常」相当が出た場合も、
/rは避けます。 - ドライブが安定して認識され、重要データの退避が済んでいる、または失ってもよい場合のみ実行候補にします。
- 実行する場合は、管理者のコマンドプロンプトで
chkdsk X: /rを実行し、途中でPCを使わず完了まで待ちます。
SFC/DISMでWindows側を修復する手順
CRCエラーがOSや周辺コンポーネントの不具合に引っ張られている可能性がある場合、Windowsのシステムファイル修復を試す価値があります。これはユーザーデータ自体を直すものではなく、OSの土台を整える作業です。
- スタートメニューで「cmd」を検索し、「コマンドプロンプト」を管理者として実行します。
- まず、
DISM.exe /Online /Cleanup-image /Restorehealthを実行し、完了まで待ちます。 - 続けて、
sfc /scannowを実行し、検証と修復が完了するまで待ちます。 - 完了後に再起動し、CRCエラーが出ていた操作(コピー、解凍など)を再度試して改善有無を確認します。
④コピー中のCRCエラーでデータを退避する
コピー中にCRCエラーで止まる場合でも、読めるファイルは残っていることがあります。全部を一気に救うより、重要度の高いものから順に救い出すのが現実的です。
重要フォルダから優先コピーする手順
全データコピーは途中で止まりやすく、トライ回数も増えてしまいます。優先順位を決め、まず重要データだけを救う手順に切り替えます。
- コピーしたいデータを、最小単位に分けます(例:年度別、案件別、写真フォルダ単位)。
- 最重要フォルダから順に、コピーを開始します。途中で止まるファイルがあれば、そのフォルダは一旦後回しにします。
- 大きなファイルや大量の小ファイルは負荷が増えやすいため、まずは小さめの重要ファイルから救出します。
- 読めたデータは、別ドライブに保存したうえで、できれば別媒体にも二重にバックアップします。
robocopyで止まりにくくコピーする
Windows標準ツールのrobocopyは「ファイルをコピーするためのコマンド」です。ファイルを安定してコピーしたり、途中で失敗しても再開したり、差分だけコピーしたりしやすいのが特徴です。ただし異音がある場合は無理に使用しないでください。
- コピー先として、別の物理ドライブ(内蔵の別ドライブ、別の外付けHDDなど)を用意します。同じドライブ内の移動は避けます。
- コマンドプロンプトを開き、次の形式で実行します。
robocopy X:\重要フォルダ D:\backup\重要フォルダ /E /R:0 /W:0 X:は元ドライブ、D:は退避先ドライブに置き換えます。/R:0は再試行しない、/W:0は待ち時間なしの指定です。- エラーが出たファイルがあっても、コピーできた分を確保できる場合があります。完了後、退避先でファイルが開けるか確認します。
コピー先の選び方と負荷を減らす手順
退避作業は、コピー先の選び方や実行環境で成功率が変わります。不要な書き込みや再試行を減らし、読み取り負荷を抑えるのがポイントです。
- 退避先は、必ず別の物理ドライブにします(同一ディスク内の移動や上書きは避けます)。
- 退避作業中は、他の大きな処理(動画編集、ゲーム、クラウド同期など)を止め、PCの負荷を下げます。
- USB接続なら、直挿しと安定給電を徹底し、ケーブルに触れて接触が変わる状況を作らないようにします。
- 退避が完了したデータは、可能なら別媒体にも複製し、元ドライブへの追加操作を減らします。
⑤ZIPや納品データのCRCエラーを解決する
ZIPの解凍時に出るCRCエラーは、ストレージ故障ではなく「受け取ったファイルが壊れている」だけのことも多いです。ここでは、最短で切り分けて解決する手順をまとめます。
ファイル破損かを切り分ける手順(サイズ・再現性)
ドライブ全体の問題か、ファイル単体の問題かを切り分けると、やるべき対処が大きく変わります。まずは「そのZIPだけ」なのかを確認します。
- CRCエラーが出る対象が「特定のZIPだけ」か、他のファイルでも起きるかを確認します。
- ZIPファイルを、いったんPCの内蔵ドライブ(デスクトップなど)へコピーしてから解凍を試します。
- ファイルサイズが送信者の案内より小さい、途中でダウンロードが止まった履歴がある場合は、転送欠損の可能性が高いです。
- 同じZIPを別PCでも試し、同じ場所で同じエラーが出るなら、ファイル破損の可能性が高まります。
再ダウンロード・再送を依頼する手順
ファイル破損が濃厚な場合、修復やスキャンよりも「正しいファイルを再入手」するのが最短です。納品トラブルを早く収束させるための依頼方法を整理します。
- 送信者へ「CRCエラーで解凍できない」ことを伝え、可能ならエラーメッセージのスクリーンショットを共有します。
- 「別の転送方法(クラウド共有、転送サービス)」「ZIPの作り直し」「分割圧縮」など、再送の選択肢を提示します。
- 大容量の場合は、メール添付ではなく、信頼できる共有方法へ切り替えるよう提案します。
- 再入手後は、すぐに解凍せず、まずはサイズやハッシュの確認(次項)を行い、納品ミスの再発を減らします。
ハッシュ値(SHA-256)で整合性を確認する手順
ハッシュ値は、受け取ったファイルが「送信者が用意したものと同一か」を確認する手段です。CRCエラーが起きる前に、受け取り時点で欠損を検出できます。
- 送信者に、対象ファイルのSHA-256ハッシュ値(文字列)を共有してもらいます。
- 受信側でコマンドプロンプトを開き、
certutil -hashfile "C:\path\file.zip" SHA256を実行します。 - 表示されたハッシュ文字列を、送信者の値と照合します。1文字でも違えば欠損や改変の可能性があります。
- 一致しない場合は、解凍や修復を続けず、再ダウンロードや再送を依頼します。
別の解凍方法で検証する手順(テスト・抽出先変更)
解凍ソフトや抽出先の条件で、エラーの出方が変わることがあります。ただし、CRCエラーが続く場合はファイル破損が濃厚なので、過度に粘らず再入手に切り替えます。
- ZIPファイルを内蔵ドライブへ置き、抽出先も内蔵ドライブ上の空フォルダにします(外付けへの抽出は避けます)。
- 別の解凍ソフトが利用できる場合は「アーカイブのテスト」機能で検証し、どのファイルでエラーが出るか確認します。
- エラーが出るファイルが限定される場合は、そのファイルだけ再出力・再送を依頼する判断も可能です。
- テストでCRCエラーが再現するなら、修復で直る可能性は高くないため、再入手を最優先にします。
⑥DVD/CDなど光学メディアのCRCエラーに対応する
光学メディアは、汚れや傷の影響を受けやすい反面、適切な清掃や読み取り環境の変更で改善する場合があります。負担の少ない順に試します。
ディスク面を清掃する
指紋やホコリがあるだけで読み取りが不安定になります。傷を増やさないよう、正しい拭き方で清掃します。
- 柔らかい布(メガネ拭き等)を用意し、乾いた状態で軽く拭きます。
- 拭く方向は、円周方向ではなく、中心から外側へ放射状に行います。
- 汚れが落ちない場合は、布をわずかに湿らせて同様に拭き、最後に乾拭きして水分を残さないようにします。
- 清掃後、同じドライブで一度だけ読み取りを試し、改善がなければ読み取り環境を変えます。
別ドライブ・別PCで読み取りを試す
光学ドライブの性能や相性で読み取り可否が変わることがあります。同じPCで粘らず、環境を変えて試します。
- 別のPC、または別の外付け光学ドライブを用意します。
- 清掃後のディスクをセットし、まずはエクスプローラーでファイル一覧が表示されるか確認します。
- 表示される場合は、重要なファイルから順にコピーし、読めない部分は後回しにします。
- どの環境でどこまで読めたかをメモし、改善が見込めない場合は専門相談も検討します。
読める範囲を優先してコピーする
読み取りに失敗するファイルが混ざっていても、読めるデータを先に確保できることがあります。コピーの順序を工夫して進めます。
- 最重要ファイルだけを選び、まずそれだけをコピーします(全選択コピーは避けます)。
- 途中で止まるファイルが出たら、そのファイルは後回しにし、別フォルダの重要データを優先します。
- コピーできたデータは内蔵ドライブへ保存し、必要なら別媒体へ複製します。
- 読めないファイルが重要な場合は、メディアの状態により専門対応が必要になるため、無理に読み取りを繰り返さず相談を検討します。
読めないファイルがどうしても必要な場合は、繰り返しの読み取りを避けることが重要です。メディアの状態が悪化し、復旧が困難になることもあるため、専門のデータ復旧業者への相談を検討することをおすすめします。
専門的な設備と技術による診断を受けることで、救出できる可能性が高まります。
やってはいけないこと(悪化しやすい行動)
CRCエラーの場面で起こりがちなのは「何度も試す」ことです。原因が物理障害寄りだった場合、試行回数の増加が状態悪化につながることがあります。ここでは、避けたい行動と、代わりに取るべき判断手順を整理します。
電源オンオフ・抜き差しを繰り返さない
認識しないからといって何度も差し直す、再起動する、といった行動は、状態悪化や接点損耗を招きやすいです。回数を制限し、手順で管理します。
- 抜き差しは、条件を変える目的がある場合に限り、1回ずつ行います(同じ条件での連発はしません)。
- 認識が不安定になったら、まず操作を止め、記録(スクリーンショット・メモ)を取ります。
- 再起動を繰り返す前に、給電やケーブル交換など「負荷が少ない切り分け」を優先します。
- 異音や発熱がある場合は、その時点で通電を止め、相談へ切り替えます。
状況不明のままchkdsk(特に/r)を実行しない
chkdskは有効な場合もありますが、状況が物理障害寄りだと負荷で悪化しやすいです。実行する前に確認すべき項目を固定化します。
- 異音、切断、極端な遅さがあるかを確認し、ある場合はchkdskを避けます。
- ディスク管理とS.M.A.R.T.の結果を確認し、劣化が疑われる場合は退避または相談へ切り替えます。
- 重要データが残っている場合は、修復よりも「読める範囲の退避」を先に行います。
- 上記が問題なく、バックアップ済みの場合に限り、まずは
/fから慎重に試します。
復旧ソフトを安易に実行しない
復旧ソフトはケースによって有効ですが、スキャンで読み取りが増えたり、誤操作で上書きしてしまうと、復旧の可能性が下がることがあります。導入前に確認すべきポイントを整理します。
- 対象ドライブに対して「書き込みが発生しない」操作か確認します(復元先は必ず別ドライブ)。
- 異音や認識不安定がある場合は、スキャン自体が負荷になるため、実行を避けます。
- 復旧ソフトで試すなら、まずは読めるデータの退避(コピー)を優先し、残りの選別に使う形にします。
- 重要データで失敗できない場合は、ソフトで粘る前に専門相談へ切り替えるほうが安全です。
メーカー修理に出す前の確認手順(初期化の回避)
メーカー修理は「機器を直す」目的で進むことが多く、データは初期化されることがあります。データが必要な場合は、修理に出す前に確認が必須です。
- 修理受付の規約で「データは保証しない」「初期化する場合がある」の記載がないか確認します。
- データが必要なら、修理依頼の前に、データ復旧の可否を優先して相談します。
- 修理と復旧を同時に依頼できる窓口があるか、または復旧専門業者に切り替えるかを判断します。
- 依頼前に、エラーメッセージ、機器型番、症状(異音、切断など)を整理しておくと説明がスムーズです。
なぜデジタルデータリカバリーでは復旧困難な機器の復旧事例が多いのか
デジタルデータリカバリーはこれまで数々の復旧に成功してきました。復旧事例が多いのには、理由があります。
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私たちデジタルデータリカバリーは、17年連続で国内売上No.1(※1)。累計50万件以上(※2)の相談実績をもとに、あらゆるデータトラブルと向き合ってきました。
「データが戻ってくるかどうかは、最初の診断で決まる」
そう言っても過言ではありません。
最大の強みは、その“症例データの蓄積数”。
すべての相談内容を電子カルテのように管理し、障害のパターンと復旧手法を社内でデータ化。
これにより、問題の切り分けが圧倒的に早くなり、対応スピードと成功率の向上につながっています。
その結果、48時間以内に対応を完了した件数は全体の約80%。
一部復旧を含む復旧件数割合は92.6%(※3)と、業界でも高水準の成果を出し続けています。
国内最高峰の復旧設備
復旧の成功事例の多さは、デジタルデータリカバリーの技術力の高さを象徴しています。復旧成功の要因として、次の点が挙げられます:
- 蓄積された知見に基づき、障害箇所を正確に特定
- 最新技術を駆使した独自の復旧手法を開発
- 精密な環境での復旧作業(専用クリーンルーム完備)
これらの要素が、他社では対応が難しいケースでも「不可能を可能に」しています。
「他社で復旧できなかった機器のご相談件数8,000件超(※4)」ですので、他社で復旧してもらえなかった機器であっても、デジタルデータリカバリーでは復旧できる可能性もございます。是非ご相談ください。
相談から初期診断まで無料で対応可能
初期診断とは、機器に発生した障害の原因を正確に特定し、復旧の可否や復旧方法を確認する工程です。デジタルデータリカバリーでは、経験豊富な技術者が「初期診断」を行い、内部の部品にダメージを与えることなく問題を見つけます。
データ障害のパターン15,000種類以上もありますが、「ご相談件数50万件超」(算出期間:2011年1月1日~)を持つ当社は、それぞれの障害原因をデータベースから即座に情報を引き出し、原因を正確に特定できる体制を整えています。
※1:データ復旧専門業者とは、自社及び関連会社の製品以外の製品のみを対象に保守及び修理等サービスのうちデータ復旧サービスを提供し、その売上が総売上の50%以上を占める企業のこと ※第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく(算出期間:2007年~2023年)
※2:期間:2011年1月1日~
※3:2025年9月実績。一部復旧:完全復旧に至らなかったが、一部復旧できた場合。完全復旧:復旧希望データを100%復旧できた場合。
※4:算出期間:2016年6月1日~
よくある質問
いえ、かかりません。当社では初期診断を無料で実施しています。お客様の機器に初期診断を行って初めて正確なデータ復旧の費用がわかりますので、故障状況を確認しお見積りをご提示するまで費用は頂いておりません。
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機器の状態によって故障の程度が異なりますので、復旧完了までにいただくお時間はお客様の機器お状態によって変動いたします。
弊社は、復旧完了までのスピードも強みの1つで、最短即日復旧・ご依頼の約8割を48時間以内に復旧完了などの実績が多数ございます。ご要望に合わせて柔軟に対応させていただきますので、ぜひご相談ください。
営業時間は以下の通りになっております。
365日24時間、年中無休でお電話でのご相談・復旧作業・ご納品・アフターサービスを行っています。お困りの際は是非ご相談ください。
電話受付:0:00~24:00 (24時間対応)
電話番号:0800-333-6302
来社受付:9:30~21:00
復旧できる可能性がございます。
弊社では他社で復旧不可となった機器から、データ復旧に成功した実績が多数ございます。 他社大手パソコンメーカーや同業他社とのパートナー提携により、パートナー側で直せない案件を数多くご依頼いただいており、様々な症例に対する経験を積んでおりますのでまずはご相談ください。
この記事を書いた人

デジタルデータリカバリー データ復旧エンジニア
累計ご相談件数50万件以上のデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」において20年以上データ復旧を行う専門チーム。
HDD、SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、スマートフォンなど、あらゆる機器からデータを取り出す国内トップクラスのエンジニアが在籍。その技術力は各方面で高く評価されており、在京キー局による取材実績も多数。2021年に東京都から復旧技術に関する経営革新優秀賞を受賞。











その下のS.M.A.R.T.項目から、特にC5(代替処理保留中のセクタ数)、C6(回復不可能セクタ数)、05(代替処理済のセクタ数)の値を確認します。黄色や赤色の表示、または数値が増加している場合は注意が必要です。































