コンピュータの起動時に、黒い画面に「PXE-E61: Media test failure, check cable」とエラーが表示されることがあります。
このエラーは、通常、ネットワークブートが不可能なことを示しており、ハードドライブが見つからない場合に発生することが多いです。
ネットワークケーブルの接続不良やBIOS設定の誤り、ネットワークカードの問題など、さまざまな要因が関係しているため、原因を見極め、適切な対処を行いましょう。
目次
「PXE-E61: Media test failure, check cable」が発生する原因
このエラーが発生する主な原因を以下に示します。
ネットワークケーブルの接続不良
ネットワークケーブルが正しく接続されていない場合、PXEブート時に「Media test failure」が発生することがあります。
特に、ケーブルが物理的に損傷している場合や、ポートとの接続が緩んでいる場合にこのエラーが発生しやすくなります。
ブート順序の誤設定
BIOSのブート順序設定に誤りがあり、ネットワークブート（PXE）が優先になっていると、内蔵ハードドライブが認識されず、このエラーが発生することがあります。
PXEブートはネットワーク経由でOSをロードするための設定ですが、通常の環境ではハードディスクやSSDを優先して起動する必要があります。
ネットワークカードの問題
ネットワークカード（NIC）が故障している、または適切に認識されていない場合、PXEブートに失敗する可能性があります。
ドライバの不具合やハードウェア障害が原因であることが多いため、デバイスマネージャーで確認し、必要に応じて交換や修正を行うことが必要です。
DHCPサーバーのトラブル
PXEブートは、ネットワーク内のDHCPサーバーからIPアドレスやOSのブートイメージを取得する仕組みを持っています。
DHCPサーバーが正常に動作していない場合、必要な情報を取得できずにエラーが発生することがあります。ネットワーク管理者に確認し、DHCP設定を適切に調整する必要があります。
PXEブートの無効化不足
PXEブートはBIOSまたはUEFIの設定で有効・無効を切り替えられます。通常のPC環境ではPXEブートを無効にすることでエラーを回避できます。
PXEブートが不要な場合は、BIOSの設定で無効にすることを推奨します。
OSの破損または未インストール
PCに適切なOSがインストールされていない、またはシステムファイルが破損している場合、PXEブートが試行されることがあります。
OSを正常にインストールし、ブートデバイスとして正しく設定することで、このエラーを回避できます。
「PXE-E61: Media test failure, check cable」の対処法
以下の対処法を試すことで、エラーを解決できる可能性があります。
ネットワークケーブルの確認
ネットワークケーブルが適切に接続されているかを確認し、破損や接触不良がないかをチェックします。
- PCの電源をオフにする。
- Ethernetケーブルを慎重に抜き、破損や摩耗がないか確認する。
- ケーブルをしっかりと再接続する。
- 別のポートやケーブルを試してみる。
- PCを起動し、エラーが解消されているか確認する。
BIOSのブート順序を変更
ハードディスクを優先的にブートするようBIOSの設定を変更し、PXEブートを回避します。
- PCを再起動し、BIOS（UEFI）にアクセスする。（通常、F2、F12、Delキーのいずれかを押す）
- 「Boot」メニューを開き、ブート順序を変更する。
- ハードディスクを第一優先に設定し、変更を保存して再起動する。
ネットワークカードの診断
ネットワークカードが正しく認識されているか確認し、問題があれば修正します。
- デバイスマネージャーを開く。（Windowsキー＋Xを押して「デバイスマネージャー」を選択）
- 「ネットワークアダプター」内のNIC（ネットワークカード）を確認する。
- NICが無効になっている場合、有効化する。
- 最新のドライバーを適用する。（右クリック→「ドライバーの更新」）
DHCPサーバーの設定を確認
ネットワーク内のDHCPサーバーが正常に動作しているかを確認します。
- ルーターやネットワークスイッチの電源を入れ直す。
- ネットワーク管理者がいる場合、DHCPサーバーの状態を確認してもらう。
- IPアドレスが正しく割り当てられているか確認する。（「ipconfig /all」コマンドを実行）
PXEブートを無効にする
PXEブートを無効にすることで、エラーを回避します。
- PCを再起動し、BIOS（UEFI）にアクセスする。
- 「Advanced」または「Boot」メニューを開く。
- 「PXE Boot」または「Network Boot」の設定を探し、「無効」に設定する。
- 変更を保存し、PCを再起動する。
OSの再インストール
OSが破損している場合、再インストールすることで問題を解決できます。
- 起動可能なUSBメディアまたはDVDを準備する。
- BIOSでUSBまたはDVDをブートデバイスとして設定する。
- OSインストーラーを起動し、「修復」または「新規インストール」を実行する。
- インストール完了後、PCを再起動し、PXEエラーが解消されたか確認する。
データが失われるリスクがある場合の対応
このエラーが発生した背景に、ハードディスクの故障が関係している可能性があります。
内部部品が故障している場合、個人での対応は困難です。通電を続けるだけで状態が悪化し、最悪の場合はデータを完全に消失する可能性があります。
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この記事を書いた人
デジタルデータリカバリー データ復旧エンジニア
累計相談件数46万件以上のデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」において20年以上データ復旧を行う専門チーム。
HDD、SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、スマートフォンなど、あらゆる機器からデータを取り出す国内トップクラスのエンジニアが在籍。その技術力は各方面で高く評価されており、在京キー局による取材実績も多数。2021年に東京都から復旧技術に関する経営革新優秀賞を受賞。
