ハードディスク(HDD)が故障した!?
前兆と対応を徹底紹介!
突然訪れるハードディスク(HDD)の故障

ついさっきまで動いていたのに再起動したら起動しなくなった…ということも。 実は突然に思えるハードディスクの故障には、ある程度故障を予見できる前兆があるんです。最近ハードディスクの調子が悪いかもしれないと思ったら、まずは前兆になる症状が出ていないか調べてみましょう。
前兆になる症状は大きく分けて2つ。論理的なもの or 物理的なもの
【論理的なもの】ファイルが破損し始めている
・読み込みが遅い
・中身が読めないファイルができてきた
・ファイルやフォルダ名や中身が文字化けしている
・急にDLLファイルが読み込めなくなるが再起動すると直る
これらの症状の原因は、何らかの理由でデータ領域が壊れ始めた初期症状です。
悪化が進むとOSが起動するまで異常に時間がかかるようになったり、すぐにブルースクリーンエラーを出して落ちるようになり、最悪は起動しなくなります。また、断片化が進んでしまったファイルは復旧が困難になります。おかしいと思った段階で早めの対処が必要です。
【物理的なもの】起動時に妙な音がする
ギギギ、ガガガ、カカッカカッなどの、今までしなかった音がするようになったハードディスクは、遠からず電源投入時に応答しなくなる可能性があります。
原因はパーツの経年劣化がほとんどですが、稀に初期不良でも起こります。
基盤の交換で直るケースもありますが、モーターやヘッドが故障寸前の場合が大半です。特にモーター部分のスピンにエラーが発生するようになったハードディスクは、何度も電源を入れ直すと確実に故障が進みます。起動するうちに対応する必要があります。
どちらも致命的な故障を発生する寸前の症状です。どれか一つでも当てはまる症状があった場合、そう遠くないうちにハードディスクが故障する危険をはらんでいます。
これって故障?
故障かも?と思われる症状が軽い順から見ていきましょう。 いずれの症状も「挙動がなんだかおかしいから」と繰り返し再起動をして電源をいれると、症状は更に悪化します。起動した状態でできるだけ早く対応する必要があります。
① |
・フォルダを開く時に待たされる ・前より挙動が重くなった ・時々ファイルのコピーに失敗する |
まだ軽い初期症状です。この段階であれば比較的正常に起動するので、バックアップ用のハードディスクを用意してデータを移動すれば、データが入ったまま故障して取り出せないという最悪の事態は避けられます。
基本的には論理障害が大半ですが、モーターなどの寿命が近づき、データをシークするのに時間がかかっている場合もあります。また「時々ハードディスクから起動時のような音がする」場合は、瞬断からの再起動を試みている可能性があります。この症状を発生している場合、故障寸前の状態なのですぐにデータを移動して取り外す必要があります。
② |
・電源を入れた時、OSの起動に失敗する ・ブルースクリーンが頻発する |
①よりやや状態が進んでいますが、まだ初期症状です。故障に近くなっているので、なるべく早めにデータを移動してハードディスクを交換したほうがよいでしょう。
③ |
・変な音がする ・頻繁にスキャンディスクをする ・電源が急に落ちる |
ヘッドやモーターの寿命が近づいて正常にデータが読めない症状が更に進んでいます。最悪の場合、ヘッドがデータを保存しているプラッターを傷付けてしまいます。また急に電源が落ちるのは、瞬断の症状が進んでいる状態です。
いずれにせよOSからハードディスクとして認識できなくなりつつあるため、起動するうちに対処しないとデータが取り出せないまま認識しなくなります。
④ |
・なんだかちょっと焦げ臭い |
完全な末期症状です。ハードディスクが非常に高温になっています。内部のデータ破損はもちろん、放置すると火災の可能性があるので、すみやかに電源を切ってメーカーに問い合わせてください。
ハードディスクが故障する前兆とは

ハードディスクが故障する前兆を、音や挙動のような症状が出てくる前にソフトで確認することができます。
Crystal Disk Infoと呼ばれるフリーソフトを使用すると、ハードディスクの現在の状態を見ることができます。
故障しかけた時に再起動しようとたびたび電源を入れ直すとさらに状態が悪化するのはこれが原因です。電源投入回数は3000回を超えると極端に故障が多くなると言われていますので、3000回が近づいている場合は特に症状がなくても交換の準備がおすすめです。
使用時間が10万時間を超えている場合、いつ寿命が来てもおかしくない状態なので、現在特にエラーがなくても交換の準備を始めたほうが良いでしょう。
前兆を放置して故障してしまえば復旧に非常に手間がかかります!
交換?購入?どちらがお得?
ハードディスクが他のパーツと最も違うのは、なんといっても内部のデータでしょう。
交換したからといって、今まで作成していたデータは戻ってきません。なので、一言でお得かどうかということを判断するのは難しいものです。
故障の前兆が出ている段階で対応し、データを移動して交換するのがベスト
前兆に気付いた時には故障寸前だったということもよくある話です。故障の前兆がごく初期のもの以外は、次の起動で二度と読み込まない危険をはらんでいます。前兆に気付いたら自分で交換を試みず、復旧業者に問い合わせてください。復旧業者は実は、取り出せなくなってからの復旧だけでなく、故障寸前のハードディスクからの安全なデータ移動もしてくれます。この段階でならデータはほぼ完全に確保でき、費用も完全な故障より安価で済みます。
ハードディスクは現在2TBで6000円程度とだいぶ安価になりました。ごく軽い前兆の段階でハードディスクを交換してバックアップが取れれば、データ転送用のケーブルなどを含めても1万円程度ですみます。また外付けハードディスクも1万円程度と安いので、日頃からバックアップ用のハードディスクを用意しておくことも簡単になったといえます。
とはいえ、これらのバックアップがない場合はまっさらのハードディスクとの入れ替えになります。
故障した時に内部のデータの復旧を一切諦めてしまうのであれば、単純な費用だけで言えば交換のほうがお得と言えます。しかし、デジカメの写真や仕事の資料、研究のデータなど、二度と戻らない大切なデータと引き換えになってしまいます。
一方復旧の料金はどれくらい掛かるのでしょうか?
ハードディスクの復旧は、基本的にその総容量と症状で決まります。軽い症状の小容量のハードディスクなら安く済みますが、容量が大きく複雑な故障の場合、ケースバイケースで高額になることもあります。とはいえ中のデータの重要性と比較すれば、戻ってくるなら安い出費といえるのかもしれません。
そしてこの費用は、あくまでパソコンで読み込めなくなったハードディスクの場合です。
まだ読み込めるが故障の予兆があり危険かもしれない…というハードディスクからの安全なデータの移動なら比較的安価に絶対に消えては困るデータが確保できます。
交換したハードディスクはどうするの?
復旧作業が終了して交換したあと、故障していたハードディスクは、基本的には復旧を依頼した業者に頼んで処分してもらうのがおすすめです。というのも、故障してもデータが復旧できたように、そのままではデータは読み取れてしまうのです。
万が一捨てたハードディスクを悪意ある第三者が復旧した場合、内部のデータが漏洩してしまう危険があります。状態が悪く復旧が困難なハードディスクからでもデータ復旧が出来る業者は、逆に言えばどういう状態になったハードディスクからならデータが読み取れないのかというノウハウを持っています。
物理的な障害によって故障、または故障しかけているハードディスクは再利用できないので、秘密保持の観点からも処分を依頼したほうが良いでしょう。とはいえ、そのまま捨てられるのではと不安になる方もいるかと思いますが、基本的にはプラッターの破壊をして貰えます。
データが記録されている銀色の円盤「プラッター」が物理的に破壊されると、データの読み取りはほぼ完全に不可能になります。もちろん個人で行うこともできますが、ハードディスクを解体してプラッターを取り出す必要があるので余計な一手間が掛かります。
故障の原因が論理障害の場合、物理障害がなく比較的新しいものは、完全にフォーマットしてしまえば以前同様に使用が可能です。復旧後、データを移したハードディスクとともに返却してもらい、ローレベルフォーマットを行ってデータを消去した上でバックアップ用などに再利用できます。論理障害でも使用期間の長いハードディスクは故障が再発する可能性があるので、やはり再使用は避けて処分を依頼したほうが良いでしょう。