突然、ファイルの読み取りエラーが頻発したり、コピーに異常な時間がかかるようになった場合、それはHDDやSSD内部に「不良セクタ」が発生している兆候かもしれません。
不良セクタを放置すると、次のような深刻なリスクが発生します。
- 保存ファイルの破損や消失
- OSが起動しなくなる
- ドライブ全体の読み書き不能
特に注意すべきは、不良セクタは一度発生すると連鎖的に増加する特性があるため、初期対応を怠ると復旧率が大きく低下することです。
本記事では、不良セクタの代表的な原因を体系的に整理し、安全に対処するための正しい手順を専門的な視点からわかりやすく解説します。
「最近ドライブの調子がおかしい」と感じたら、データ損失の前に無料診断で状況を見極めることが重要です。深刻化する前に、ぜひご相談ください。
目次
不良セクタが発生する主な原因
不良セクタには必ず背景となる要因があります。ここでは代表的な原因を六つに分類し、仕組みと発生メカニズムを整理します。
製造段階の初期不良
HDDやSSDは出荷前に検査が行われますが、微細な転写ムラや基板の個体差によって、ごく少数の不良セクタが残存する場合があります。通常は予約領域へのマッピングで隠蔽されますが、利用時間の経過とともに表面化することがあります。
経年劣化
磁性体の退化、フラッシュメモリセルの摩耗、潤滑層の劣化など、長期使用によって物理特性が変質し、読み書き再試行が増加します。統計的には稼働3〜5年を過ぎる頃から不良セクタ発生率が急上昇します。
過酷な環境条件
高温・多湿・埃が多い環境下では潤滑油の蒸発やチリの付着が進み、HDD内部のクリアランスが乱れます。SSDも高温によるセル疲労が早まり、書き込みエラーが増加します。
電源トラブル
瞬停や電圧降下のたびにキャッシュ未フラッシュデータが失われ、メタデータの整合性が壊れることがあります。ヘッド退避処理が間に合わずにプラッタを傷つけるケースも少なくありません。
ウイルス感染や論理障害
一部のマルウェアは特定ブロックへの過負荷アクセスを引き起こし、ECC再試行限界を超えてセクタを代替処理させます。また、システムクラッシュによるファイルシステム破損が原因で「論理的」不良セクタが計上される場合もあります。
これらの原因を放置すると、ファイル破損・OS起動不能・さらなる物理損傷といった深刻な二次障害に直結します。
物理的損傷

不良セクタへの主な対処法
ここでは、ソフトウェアによる論理的な回避策から物理障害に備えたデータ保護策まで、段階別の対処法を提示します。
ソフトウェアによる論理的な回避策
OSや診断ツールを利用して、不良セクタをシステム的に迂回する方法を紹介します。
chkdskコマンドで不良セクタを回避
Windows標準のチェックディスク機能は、読み取り不良セクタを検出し、対応するクラスタをOSから切り離します。
- スタートメニュー検索欄に「cmd」と入力し、管理者として実行を選択します。
- 黒いウィンドウが開いたら、
chkdsk C: /r
(※C:は対象ドライブ)と入力し、Enterキーを押します。 - 「次回のシステム再起動時にスキャンを予約しますか? (Y/N)」と表示された場合は
Y
を入力し、PCを再起動します。 - 再起動後、青い画面で自動スキャンが始まり、検出された不良セクタがファイルシステム上で使用不可としてマークされます。
SMART情報で早期発見
無料ツール「CrystalDiskInfo」等でSMART属性を監視し、代替処理済みセクタ数の増加をいち早く検知します。
- 公式サイトから「CrystalDiskInfo」をダウンロードし、インストールします。
- 起動後、C5 代替処理保留中のセクタ数と05 代替処理済のセクタ数の項目を確認します。
- 数値が増加傾向であればバックアップを取り、ディスク交換を検討します。
パーティション分割で不良領域を隔離
不良セクタの位置が特定できる場合、該当範囲を未割り当て領域として残し、正常領域のみを利用します。
- Windows検索で「ディスクの管理」を開きます。
- 対象ディスクを右クリックし「ボリュームの削除」を選択して未割り当て領域に戻します。
- 不良セクタ領域を含まない位置に新規シンプルボリュームを作成し、ドライブ文字を割り当てます。
データ保護とバックアップ
不良セクタ増加が確認された段階で、速やかにデータを退避し障害拡大を防ぐ施策をまとめます。
速やかなデータバックアップ
不良セクタが増殖する前に、重要データを別媒体やクラウドに複製します。
- 外付けHDDやNASを接続し、コピーよりもエラー停止に強いバックアップソフト(例:FreeFileSync)を準備します。
- 重要フォルダを選択し、ミラーリングまたはバージョニングモードで実行します。
- 処理が途中で停止したファイルは、優先度を下げて個別に確認し、コピー可能なファイルから退避します。
専用ツールでクローン作成
ddrescueなどのリトライ制御が可能なツールで、不良セクタをスキップしつつ新ディスクへクローンします。
- LinuxライブUSBを用意し、
sudo apt install gddrescue
でツールを導入します。 - ソースディスク(
/dev/sda
)とターゲットディスク(/dev/sdb
)を接続し、sudo ddrescue -f -n /dev/sda /dev/sdb logfile
を実行します。 - 第一走査完了後、
-r3
オプションを追加してリトライ回数を指定し、残存エラーセクタを再取得します。
物理ディスクの交換
不良セクタが増加し続ける場合は、ディスク自体を新品に交換し、クローン先として利用します。
- PCの電源を切り、バッテリーを外せる機種は必ず外します。
- 静電気防止手袋を着用し、ストレージベイのネジを外して対象ディスクを取り外します。
- 同容量以上の新品ディスクに置き換え、BIOSで認識を確認後、前項のクローンを復元します。
物理障害が懸念される場合の安全措置
ヘッドクラッシュや内部異音がある場合、通電継続は二次損傷を招きます。安全にデータを守る最終手段をまとめます。
専門業者へ相談
ヘッド破損やプラッタ傷の疑いがある場合、自己復旧はリスクが高いため、クリーンルームを備えた専門業者に委ねます。
- 通電を即時停止し、通気口を塞がない形で梱包します。
- 障害の症状(異音・エラーメッセージ)と発生日時をメモにまとめます。
- 24時間365日対応のデータ復旧業者に連絡し、無料初期診断を依頼します。
適切な保管と通電停止
通電中のヘッド再試行はプラッタ傷を拡大させる可能性があるため、まず安全に電源を切ります。
- 電源ケーブルとデータケーブルを外し、静電気防止袋に入れます。
- 衝撃吸収材で包み、水平状態を保って保管します。
- 直射日光を避け、15〜25℃程度の温度で保管します。
自己対処で症状が改善しない、もしくは物理障害が疑われる場合は、通電を控えたうえで専門業者へ早急に相談してください。
当社では無料初期診断・24時間受付で、HDD/SSDを含む多様なメディアに対応しています。データ消失リスクを最小限に抑えるため、早期のお問い合わせをおすすめします。
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この記事を書いた人
デジタルデータリカバリー データ復旧エンジニア
累計相談件数46万件以上のデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」において20年以上データ復旧を行う専門チーム。
HDD、SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、スマートフォンなど、あらゆる機器からデータを取り出す国内トップクラスのエンジニアが在籍。その技術力は各方面で高く評価されており、在京キー局による取材実績も多数。2021年に東京都から復旧技術に関する経営革新優秀賞を受賞。