RAID機器に搭載されているステータスランプ(LEDインジケータ)は、機器の状態異常を瞬時に把握できる重要な目印です。特に以下のような挙動が確認された場合、内部のRAID構成に深刻な問題が発生している可能性があります。
- 赤やオレンジのランプが点灯・点滅している
- 特定のディスクベイだけランプが消灯している
- ランプが異常なリズムで点滅している
このような挙動を放置すると、RAID全体が崩壊し、すべてのデータがアクセス不能になるリスクがあります。
ランプの意味はRAIDレベルやメーカーごとに異なり、誤った判断はさらなる損傷を招く恐れがあります。まずは冷静に状況を確認し、正しい対処をとることが重要です。
本記事では、RAID構成ごとに異なるステータスランプの挙動や、警告点滅時に考えられる原因と対処法について、専門的な視点でわかりやすく解説しています。
もし点滅ランプを見ても状況が判断できない、またはデータ損失の不安がある場合は、24時間365日対応の無料診断をご利用いただけます。被害を最小限に抑えるためにも、どうぞお気軽にご相談ください。
目次
RAIDステータスランプの基本的な意味

ステータスランプは、RAID機器の動作状況を視覚的に示す手段として設計されています。一般的に、次のような色や点滅パターンが使用されます。
たとえば、緑は「正常動作」、橙(オレンジ)は「警告」や「予兆障害」、赤は「致命的エラー」などを意味します。
以下の項目に分けて、RAIDランプ点滅が示す意味を詳しく解説します。
RAIDレベルごとのランプ挙動と原因
RAID構成によって冗長性の度合いが異なるため、ディスク障害時のステータスランプ表示にも違いがあります。ここでは各RAIDレベルごとに、点滅の意味と想定される原因を説明します。
RAID 0:たった1台の故障で全データ消失
RAID 0は高速性を重視し、複数のディスクにデータを分散して書き込む「ストライピング」構成ですが、冗長性が一切存在しません。このため、1台でもディスクに異常が発生すれば、その瞬間にアレイ全体が機能を失い、すべてのデータにアクセスできなくなります。
ステータスランプは故障ディスクのベイで赤または橙の点灯や点滅となり、異常を警告します。
原因の多くは、ヘッド障害やモーター停止、不安定な接続などの物理的損傷です。RAID 0では1台の故障が致命傷となるため、異変を感じた時点で直ちにシステムを停止し、データ復旧の準備を進める必要があります。
RAID 1:片肺状態での稼働は危険
RAID 1は2台のディスクに同じデータを記録する「ミラーリング」構成で、1台のディスク障害には耐えられる仕組みです。しかし、片方が故障してもそのまま稼働できてしまうため、つい放置されがちです。
ステータスランプでは、異常ディスクのランプが赤または橙に点灯し、NAS本体やRAIDコントローラのLEDも点滅して警告を発します。
不良セクタの増加や経年劣化が主な原因であり、放置すれば残った1台もいつ故障するかわかりません。この「冗長性ゼロ」の状態で次のトラブルが発生すると、RAIDは崩壊し、データは完全に失われます。
RAID 5:猶予は1台分だけ
RAID 5は最低3台以上のディスクで構成され、1台の故障にはパリティ情報によって対応可能です。しかし、それは一時的な“猶予”に過ぎません。このタイミングでの対応が遅れれば、次の故障でRAID全体が崩壊します。
故障ディスクは赤または橙ランプで表示され、本体のSTATUS LEDも赤や橙の点滅で「劣化状態」であることを知らせます。
物理的なディスク障害のほか、一時的な接続不良でも同様の挙動を示すことがあり、「見た目上動いているから大丈夫」という判断は極めて危険です。
RAID 6:2台まで許容、だが限界は目前
RAID 6は、RAID 5よりも強固な冗長性を備え、最大2台までの同時故障に耐える構成です。ただし、2台目が故障した時点で残る余力はゼロ。以降の異常は即座にデータ崩壊へと直結します。
ステータスランプは、1台目の故障で赤/橙表示、2台目が続くと複数ベイで赤ランプとなり、RAIDコントローラやNAS本体のLEDも重大エラーを示します。
運用年数が近いディスクを一斉導入している場合、同時期に寿命を迎えるリスクが高く、リビルド中の2台目故障によってRAID 6でも致命的障害が起こり得ます。まさに“時間との勝負”です。
RAID 10:片肺化したミラーに潜む落とし穴
RAID 10は、RAID 1(ミラー)とRAID 0(ストライピング)を組み合わせた構成で、各ミラー単位で1台の故障には耐えられます。ただし、同じミラー対の両ディスクが同時に壊れるとそのペアが破綻し、RAID 10全体も停止します。
この場合、故障ディスクのベイランプが複数赤く点灯し、RAIDシステムはエラー停止に入ります。異なるミラーからそれぞれ1台ずつの故障なら動作継続は可能ですが、“片肺”での運用は常に破綻寸前であるという自覚が必要です。
複数台のディスクが同時期に寿命を迎えると、このような事態は容易に発生します。ランプの警告を軽視すれば、次の瞬間には全データが消えているかもしれません。
よくある異常時のランプ例と原因
RAID機器で実際に頻発するトラブルをもとに、ステータスランプの典型的な挙動と原因を整理します。対処が遅れるとデータ損失やRAID崩壊につながる可能性もあるため、ランプの警告を見逃さないことが重要です。
- リビルド中のランプ挙動
- 予兆保全(予測障害)時のランプ挙動
- RAIDキャッシュエラーのランプ挙動
- RAIDコントローラの障害時
- その他ハードウェア異常時
- ディスク故障時のランプ挙動
リビルド中のランプ挙動
ディスク交換後やホットスペアからの再構成中は、リビルド処理が行われており、対象ディスクのアクセスランプがゆっくり点滅します。これは正常なプロセスであり、異常ではありません。
QNAP製品ではSTATUSランプが赤と緑の交互点滅になるなど、リビルド中の状態を示すパターンが定められています。
予兆保全(予測障害)時のランプ挙動
ディスクに明確なエラーは出ていなくても、S.M.A.R.T情報などから故障の兆候を検知すると、「予測障害」として緑と橙の交互点滅が表示されることがあります。この状態ではまだRAIDは正常動作中ですが、早期のディスク交換が推奨されます。
RAIDキャッシュエラーのランプ挙動
RAIDカードに搭載されたライトバックキャッシュやバッテリユニットが劣化・故障すると、専用のインジケータランプが赤や橙に点灯します。これによりキャッシュ機能が無効となり、書き込み性能低下や保護機能の停止につながるため、注意が必要です。
RAIDコントローラの障害時
RAIDコントローラ自体に障害があると、RAIDアレイは正常でもアクセス不能になります。インジケータの赤/橙点灯や、起動時にBIOS上でエラーメッセージが表示されることがあります。適切な診断が必要です。
その他ハードウェア異常時
電源ユニット、冷却ファン、システム温度上昇などもLEDにより警告が発せられます。多くのRAID機器では、「Health LED(システム健康状態ランプ)」が搭載され、緑→橙→赤と段階的に状態を示します。
ディスク故障時のランプ挙動
RAID機器で最も頻繁に発生するトラブルのひとつが、ハードディスクの故障です。特に長期間使用されたRAID構成では、ディスクの経年劣化による障害が避けられません。
故障が発生すると、以下のような兆候が現れます。
- 該当するディスクのベイランプが赤やオレンジに点灯、または高速点滅する
- 正常なディスクは緑色のランプが点灯したまま
- RAIDコントローラやNAS本体のステータスランプがオレンジや赤で点滅し、異常を通知する
このようなディスク障害の主な原因には、以下のようなものがあります。
- 磁気ヘッドの損傷
- スピンドルモーターの異常
- 不良セクタの蓄積による読み書きエラーの増加
これらの問題を放置すると、RAID構成全体のバランスが崩れ、他のディスクに負荷が集中して次々に故障が連鎖する恐れがあります。特にRAIDの再構築中に別のディスクが故障した場合、すべてのデータが失われる可能性があるため、迅速な対応が不可欠です。
そのため、異常ランプを確認した時点で、正確な診断と適切な対策を早急に講じることが重要です。こうした状況では、RAID機器に特化した専門的な対応が求められます。
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RAIDの異常に気づいたら、被害が広がる前に早めのご相談をおすすめします。
主要メーカー別:LEDランプの特徴と参照先
ステータスランプの挙動は、RAID機器のメーカーによって異なります。以下に代表的なメーカーのランプ仕様と、確認先をまとめます。
Dell(デル)
PowerEdgeサーバーやPERCコントローラを搭載したモデルでは、ドライブベイに緑と橙の2色LEDが配置され、以下のような挙動が定義されています。
- 緑点灯:オンライン(正常)
- 緑ゆっくり点滅:リビルド中
- 橙高速点滅:ドライブ障害
- 緑・橙交互点滅:予測障害
詳細は「PowerEdgeサーバー物理ドライブのLED表示の意味」などの公式マニュアルに記載されています。
HPE(ヒューレット・パッカード)
ProLiantシリーズのSmart Driveでは、青・緑・橙・白の複数LEDが搭載されています。代表的なパターンは以下のとおりです。
- 緑点灯:正常
- 緑点滅:アクセスまたはリビルド中
- 橙点灯:故障済み
- 橙/緑交互点滅:予測障害
Synology(シノロジー)
NAS本体の「STATUS」LEDが主に状態を表示し、ディスクベイ個別のランプは通常緑です。異常時は以下のように変化します。
- STATUS橙点滅:ボリューム劣化、ファン故障など
- STATUS橙点灯:重大エラー(DSM未インストール等)
- ブザーと併用して警告を発するモデルもあり
Buffalo(バッファロー)
国内メーカーBuffaloのTeraStationでは、INFOランプとERRORランプで状態を通知します。
- INFOランプ(橙):ユーザーへの通知(HDD異常など)
- ERRORランプ(赤):致命的エラー
点滅回数によるエラーコードがあるため、マニュアル参照が必須です。
QNAP(キューナップ)
QNAPのNASでは、STATUSと各HDDベイLEDが異常時の重要な指標となります。
- STATUS赤点滅:RAID劣化
- STATUS赤点灯:RAID崩壊、システムエラー
- STATUS赤/緑交互点滅:RAID再構築中
- HDDランプ赤点灯:該当HDDにエラー
RAID機器のステータスランプは、機器の状態を知らせる「警告灯」です。点灯や点滅には必ず意味があり、放置すればデータ損失や機器停止に発展します。
異常を検知した場合は、まずLEDの色と点滅を確認し、管理画面やログと照らし合わせて問題箇所を特定。そのうえで、慎重にディスク交換やリビルド作業を行いましょう。コントローラやキャッシュの異常時は専門業者への相談が最も安全です。
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この記事を書いた人
デジタルデータリカバリー データ復旧エンジニア
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