- 突然NASにアクセスできなくなった
- 保存していた大事なファイルが見られない
- RAID構成が崩れてエラー表示が出る
これらの症状が現れたとき、多くの場合、NAS内部ではすでに深刻な障害が発生している可能性があります。NASには仕事の書類や家族の思い出などのデータが保存されているケースが多く、自己流での復旧は失敗すると二度と取り戻せないリスクを伴います。
確かに、フリーソフトを使って費用を抑えたいと考える方も多いでしょう。しかしNASの内部構造やRAIDの設定は非常に複雑で、誤った操作は状況を悪化させかねません。
本記事では、Buffalo・Synology・QNAPといった主要NAS機種に対応し、RAIDレベルごとの注意点やトラブル原因、そして無料または無料版の復旧ソフトを使った対応方法をわかりやすく解説しています。
自力での復旧が難しい場合には、当社の無料診断(24時間365日)をご利用ください。
目次
NASデータが消失する原因
NASのデータトラブルが発生する背景には、いくつかの代表的な原因があります。これらを正しく理解することで、原因に応じた適切な対処法を選択できるようになります。
特にNASでは、RAID構成やLinux系ファイルシステム、複数のHDDが関わる複雑な仕組みのため、原因を見誤るとデータを失う危険性もあります。ここでは、実際に起こりやすいトラブルの種別を解説します。
RAID構成の崩壊
NASでは複数のHDDでRAID構成が組まれており、特にRAID0/5/6などでは1台のディスクに障害が起きると構成全体に影響します。
以下のような原因でRAIDが崩れることがあります。
- 1台または複数台のHDDが故障する
- RAID情報の破損
- 誤ったリビルド操作
RAID構成が崩れてしまうと、データにアクセスできなくなってしまいます。これを元に戻すには、使っていたディスクの順番やデータを分けて書き込むルール(ストライプサイズなど)を正確に再現する必要があります。
しかし、これを間違って設定してしまうと、残っていたデータまで壊してしまう恐れがあります。そのため、むやみに操作せず、慎重な対応が求められます。
誤削除・初期化の操作ミス
ファイルの削除やNASのリセットなど、人為的な操作によってデータが消失するケースです。
代表的な例には以下があります。
- 共有フォルダ内のデータを誤って削除
- NASの初期化(工場出荷時状態へのリセット)
- 誤ってRAIDアレイを削除・再構築してしまった
NASの機種によっては、ごみ箱機能やスナップショットからの復元が可能なこともありますが、設定が有効になっていなければ削除と同時にデータが失われます。削除後に上書きされていなければ、フリーソフトでの復旧も可能な場合があります。
ファームウェア不具合や停電トラブル
ファームウェアとは、NASを動かすための基本ソフトです。これに不具合が起こると、データ領域にアクセスできなくなることがあります。
具体的には以下のようなケースです。
- ファームウェアのアップデートに失敗
- ソフトウェアバグによるシステム破損
- 停電や電源断による起動不能
これらのトラブルでは、データを整理して保管する仕組みであるファイルシステムやRAIDに問題がなくても、NAS本体のOSが動かないことで中のデータにアクセスできなくなることがあります。
このような場合、NASを分解して中のHDDを取り出し、パソコンに接続してデータの確認を試みる方法も考えられますが、慣れていない方が自力で分解を行うのは非常に危険です。誤ってHDDに傷をつけたり、配線を破損したりすることで、復旧できるはずのデータまで失われるリスクがあります。
だからこそ、無理な作業を行う前に、データ復旧の専門業者への相談をおすすめします。
HDDの物理障害

NASに内蔵されているHDDは精密機器であり、経年劣化によって故障リスクが高まります。特に3~5年以上使っている場合、見た目に異常がなくても内部では徐々に劣化が進んでいることがあります。
NASは24時間稼働することも多く、常に熱や振動にさらされるため、気づかないうちにHDDへ負荷が蓄積されます。異音や動作の遅れが見られる場合は、すでに物理障害の初期症状が出ている可能性もあります。
また、わずかな衝撃や温度変化が引き金となり、突然データにアクセスできなくなるケースも少なくありません。HDDの物理障害は進行が早いため、異常を感じたら早めに電源を切り、専門業者に相談することが重要です。
当社では、相談から初期診断・お見積りまで24時間365日無料でご案内しています。まずはお気軽にご相談ください。
【要注意】自力対応が招くデータ損失のリスク

「突然NASにアクセスできなくなった」「保存していた大事なファイルが見られない」――そんなトラブルに直面したとき、まずは自力で何とかしようと対応する方が多いと思います。
誤って初期化や上書きをしてしまうケースは多く、NASを分解して状態を悪化させてしまうこともあります。特に内部のHDDに故障がある場合、自力での対応はかえって復旧を難しくする原因になります。
専門業者であれば、正確な診断に基づいて最適な方法で復旧を進めるため、データ消失を最低限に抑えることができます。中でもデジタルデータリカバリーは、以下の理由から多くの方に選ばれています。
- 相談実績46万件以上(2011年1月~)の豊富な対応経験に基づき、個人・法人問わず幅広いトラブルに対応
- 一部復旧を含む復旧件数割合91.5%(※内、完全復旧57.8%。復旧件数割合=データ復旧件数/データ復旧ご依頼件数。2023年10月実績)という業界トップクラスの技術力
- 他社で「復旧不可」とされた機器の対応実績が7,300件越えにものぼり、独自の復旧技術を保有
大切なデータを守るには、まずは自力対応よりも専門的な判断が欠かせません。操作を誤る前に、まずは当社にご相談ください。
NASデータ復旧に使える無料ソフトウェア一覧
NASから失われたデータを復旧するためには、専用のソフトウェアが必要になります。中でも、無料または無料版で試せるツールを使えば、コストを抑えつつ復旧の可能性を探ることができます。
ただし、NASのファイルシステム(ext4、XFS、Btrfsなど)やRAID構成に対応していなければ意味がないため、使用するツールは慎重に選びましょう。
TestDisk / PhotoRec
TestDiskは、誤って消してしまったパーティションの復旧や、失われたファイルの復元に特化したツールで、PhotoRecは破損メディアやRAWデータからファイルを抽出する高機能な復旧エンジンを備えています。どちらもオープンソースで、無料で利用できます。
主な特長
▶ 幅広いファイルシステム(ext、XFSなど)に対応
▶ Windows/Mac/Linuxなど複数OSで動作
▶ 消失ファイルの復元やパーティション修復に有効
初心者には操作が難しい部分もありますが、正しく使えば強力な復旧ツールとなります。
- NASから取り出したHDDをPCに接続する(USB変換アダプタなどを使用)
- TestDiskを起動し、対象ディスクを選択してパーティションのスキャンを行う
- 見つかったパーティションを選び、復元や修復処理を実行
- PhotoRecを使用する場合は、対象のボリュームを選択し、復元先フォルダを指定してスキャン開始
- スキャン完了後、復元されたファイルが指定フォルダに保存されていることを確認
UFS Explorer(RAID Recovery)評価版
UFS Explorer 評価版は、RAIDの自動解析から高度なファイル復元まで対応するプロ仕様の復旧ソフトです。
UFS Explorerは、複雑なRAID構成でも自動的に解析・再構成し、仮想的にマウントして中のデータを確認・抽出できる高機能ツールです。評価版では256KBまでのファイルのみ保存できますが、スキャン結果の確認やファイルのプレビューは制限なく行えます。
主な特長
▶ SynologyのSHRやDroboのBeyondRAIDにも対応
▶ RAID構成の自動検出と仮想RAIDの再構成が可能
▶ ext4、XFS、BtrfsなどLinux系の先進ファイルシステムにも幅広く対応
RAIDトラブル時に本格的な解析が必要な場面で、信頼できる選択肢のひとつです。
- NASから全HDDを取り出し、順番をメモしてPCに接続
- UFS Explorerを起動し、ディスク一覧からNASの各ディスクを読み込む
- ソフトがRAID構成を自動解析するのを待つ
- 仮想RAIDボリュームが組み立てられたら、内部のファイルシステムを確認
- 復元したいファイルをプレビューし、小さなファイルであれば保存して動作確認