PostgreSQLが突然起動しない、誤ってDELETEやDROPを実行してしまった、ストレージ障害でデータファイルが破損した――このような状況に直面すると、通常の再起動や単純なバックアップ復元では対応できない場合があります。
特に本番環境では、誤った操作によりデータ消失やサービス停止が長期化するおそれがあります。本記事では、PostgreSQLでリカバリ手順が必要になる代表的なケースと、物理バックアップ+WALを用いたPITRの基本的な流れ、実務上の安全な対処法を整理します。
目次
原因
PostgreSQLでリカバリが必要になる背景には、物理的な障害と論理的な障害の両方が存在します。軽微なトラブルであれば自動クラッシュリカバリで整合性が回復することもありますが、起動不能やデータ消失を伴うケースでは、バックアップとWALを用いた復旧作業が求められることがあります。
サーバークラッシュやOS障害による起動不能
停電やカーネルパニックなどでOSごと停止した場合、PostgreSQLは再起動時にWALを用いた自動クラッシュリカバリを行う仕組みがあります。しかし、データファイル自体に不整合が生じている場合や、WALの一部が破損している場合には、通常起動できないことがあります。
この状態で無理に再起動を繰り返すと、ログが上書きされ、原因特定が難しくなることがあります。結果としてDBが起動不能となり、業務システム全体が停止する可能性も否定できません。
誤DELETE・DROPなどの論理障害
アプリケーションや運用担当者による誤操作で、重要なテーブルやデータを削除してしまうケースがあります。この場合、物理的な破損はなくても、論理的にデータが消失している状態です。
バックアップから単純に復元すると、最新の変更まで巻き戻ってしまうため、事故直前の時刻まで戻すPITRが検討されます。対応を誤ると、さらに上書きが進み、目的の時点へ戻せなくなることがあります。
ストレージ障害によるデータファイル破損
RAID崩壊やディスクの物理障害により、データディレクトリ内のファイルが破損することがあります。I/Oエラーやchecksumエラーが発生している場合、通常起動が困難になる傾向があります。
このまま運用を続けると、破損範囲が拡大し、復旧難易度が上がる可能性があります。特に物理障害が疑われる場合は、早期に状況を固定し、適切な手順での復旧が求められます。
これらの原因を踏まえると、自己判断での操作は状況を悪化させるおそれがあります。重要データを扱う環境では、影響範囲を正確に診断したうえで、必要に応じて専門家へ相談することが検討されます。
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※1:2011年1月~
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PostgreSQLリカバリ手順方法
PostgreSQLのリカバリは、状況に応じて適切な手順を踏むことが重要です。ここでは、物理バックアップとWALアーカイブが取得されている前提で、一般的なPITRの流れと、安全に作業を進めるための実務的な対処法を解説します。
データディレクトリ退避と停止手順
リカバリ作業に入る前に、現行の状態を保全しておくことが重要と考えられます。誤った削除や上書きにより、再検証の機会を失う可能性があるためです。
- pg_ctl stop などで対象インスタンスを正常停止します。強制停止は可能な限り避けます。
- 現在の$PGDATAディレクトリを別ディスクへコピーし、退避用として保管します。
- 新しいリカバリ用ディレクトリを用意し、空の状態で準備します。
ベースバックアップ展開とrecovery設定
ベースバックアップとWALアーカイブが整合していることを確認したうえで、復元作業を行います。設定ミスがあると、指定時刻まで到達できない場合があります。
- 取得済みのベースバックアップを新しい$PGDATAに展開します。
- postgresql.confにrestore_commandを設定し、WALアーカイブの取得先を指定します。
- recovery_target_timeなどを指定し、$PGDATA直下にrecovery.signalファイルを作成します。
WAL再生と動作確認の流れ
設定が完了したら、PostgreSQLを起動し、WALの再生状況をログで確認します。指定時刻まで到達しているかを慎重に検証することが重要です。
- pg_ctl startでインスタンスを起動し、ログにrecovery完了の記録があるか確認します。
- 必要に応じてpromotionを実行し、通常モードへ移行します。
- 対象テーブルやアプリケーション接続をテストし、整合性を検証します。
PostgreSQLのリカバリは、バックアップ設計やWAL管理の状態によって難易度が大きく変わります。自己流の操作で状況が悪化することもあるため、少しでも不安がある場合は専門家への相談が検討されます。
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